No23 外注費と給与

 

消費税率が上がることになれば、税務調査でもっとも問題になるのは、外注費か給与かの判定でしょう。

外注費として支払っていれば、消費税も支払っていることになりますので消費税は少なくなるのですが、給与ということであれば、給与には消費税は含まれませんから、消費税を差し引いて計算することができないのです。

よくある外注費か給与かの問題は、建築会社や美容室などの専門職を雇っている会社に発生します。相手が職人であれば、会社としては雇っているのではなく、外注先として仕事を振っているという感覚があると思います。しかし、税務署としてはその外注先に対する扱いが社員と同じようなものであれば、外注費ではなく給与と指摘してくるわけです。

毎月105万円の外注費を支払っている会社があるとしましょう。この外注費が給与ということになれば、105万円には消費税が含まれないことになるので、年間に

5万円×12ヶ月=60万円

もの追徴税額が発生することになります。これは1年間ですから、税務調査で3年〜5年遡られると、これだけですごい金額になってしまうわけです。
しかも、将来消費税率が上がるわけですから、外注費か給与かの問題は、今後さらに大きくなることが予想できます。

外注費か給与かという問題は、明確な基準があるわけではありません。いろんな要素を加味しながら決まるもので、だからこそ税務調査の際には注意が必要となります。

少し専門的になりますが、外注費か給与かを判定するには下記のような項目をチェックされることになりますので、今のうちから税務調査の材料を揃えておきましょう。

(1) 会社への属性
(2) 業務の裁量権
(3) 勤務時間
(4) 支払形態
  ・ 月払い・完成従量等 ・定期昇給・退職金等 ・残業手当・賞与等
  ・ タイムカード・出勤簿等 ・請求書等の有無・支払日が給与と同じか、外注先と同じか
  ・ 手形・小切手を想定しているか
(5) 福利厚生
  ・ 社会保険の加入 ・厚生施設の利用の可否 ・忘年会の出席等
(6)その他
  ・ 原材料の支給 ・作業用具の支給状況 ・経費の負担状況