No30 重加算税の要件を明示

 

さて、前トピックから引続き「重加算税」を掘り下げてみたいと思います。

重加算税の要件は「隠ぺいまたは仮装」なのですが、これでもまだ、「結局のところ、どんなことをしたら重加算税が課されるのかわかりにくい」というわけで、国税庁はホームページで重加算税の要件について、詳しくガイドライン(事務運営指針といいます)を明示しています。

「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/hojin/000703-2/01.htm

事務運営指針とは、56,000人以上もいる国税職員が、税務調査などでバラバラの対応をしてはならないので、国税庁が制定・明示・開示しているもので、調査官全員が「守らなければならないルール」のことです。この事務運営指針には、このように明示されています。

帳簿書類の隠匿、虚偽記載等に該当しない場合
「売上げ等の収入の計上を繰り延べている場合において、その売上げ等の収入が翌事業年度の収益に計上されていることが確認されたとき。」

難しく書いていますが簡単にいうと、「今期の売上に計上すべきものが、翌期の売上に計上されていた場合は、重加算税を課さない」ということです。

一般的にいう「期ズレ」と呼ばれるもので、売上の計上時期がズレていただけであれば、35%の重加算税は課されないと、はっきり明示されているのです。にもかかわらず、税務調査の現場では期ズレでも重加算税と言われることがあるので要注意です。また、同じ事務運営指針には、このようにも明示されています。

帳簿書類の隠匿、虚偽記載等に該当しない場合
確定した決算の基礎となった帳簿に、交際費等又は寄附金のように損金算入について制限のある費用を単に他の費用科目に計上している場合。

ただ単純に、勘定科目を間違って税金の計算に誤りがあったような場合も、重加算税は課されないのですが、調査官には同じように重加算税と言われるケースが多いのです。これは明らかに調査官の誤りだというわけです。