No48 「調査日数を減らす」

 

税務署の調査官は、毎日のように税務調査をするのが仕事です。調査官は公務員ですから、一般企業よりもきつく管理されていることは間違いありません。

調査官には税務調査のノルマが与えられています。通常「調査官のノルマ」と聞くと、追徴税額のノルマだと思われがちですが、違います。調査官のノルマは「税務調査の件数」なのです。
つまり、これだけの期間で○○件の税務調査をしなければならない、と決められているのです。

調査官には税務調査の件数ノルマが課せられているということは、調査官側の心理としては、税務調査1件1件に時間をかけることができないということでもあります。

一方で税務調査というのは、1件1件にかかる時間はバラバラなのが現実です。時間がかかる調査もあれば、あっさり終わる調査もあるのです。これは、調査官が調べたいことが不明であればあるほど、結果として長引くことになりますし、当然脱税などをしている納税者に対する調査は数ヶ月かかることもあるのです。
こう考えると調査官も、事前には1件の税務調査でどれだけ時間がかかるかわらかないですし、少なくとも調査をする前は「件数のノルマをこなすためには、時間がかからない方が嬉しいな」と考えているのが普通なのです。

ここまでの前提を踏まえると、税務調査の対応も変わってきます。
まず、税務調査は通常事前に連絡があるのですが、この段階で調査の日数が長いと感じた場合の対応です。

例えば、以前は2日の税務調査だったのに、事前の予約段階で3日だと言われた場合、「前回は2日でしたよ。その頃から会社の規模等も特段大きくなってはいません。とりあえずは2日でいいではないですか?」と切り返してみることです。

このようにこちらから主張してはならない、と思い込んでいる経営者の方も多いのですが、実際のところ調査官も税務調査の日数は少ない方がいいのですから、思惑さえ合致すれば、「では2日にしましょう」と合意できるケースが多いのです。

また、税務調査を嫌う気持ちはわかりますが、税務調査が長引くことの方が嫌かと思います。税務調査は時間的負担とともに、精神的負担もかかるものです。

税務調査を嫌う気持ちを抑えて、当初から調査官に誠実に対応することで、税務調査が早く終わる可能性が高くなります。これは何も媚びへつらう、ということではありません。丁寧に対応すれば、結果的に調査が早く終わるのです。