No54 「理由の附記」

 

法律改正があり、今年(平成25年)以後に行われる税務調査から手続きに関する法規則が大きく変わりました。そのうちの1つが「理由の附記」と呼ばれるものです。

この聞きなれない制度が大きく変わったことによる、税務調査への影響は大きいので、解説していきましょう。

税務調査を受けた場合、結果として3つのパターンが存在します。今までは法定化されていなかったのですが、税務調査に関する改正で3つが法定化されました。

@申告是認(しんこくぜにん)
「税務調査を行いましたが、申告した内容に誤りがありませんでした。」という場合です。経営者にとってみればもっとも嬉しい結果です。

A修正申告
税務調査で誤りが見つかった場合、修正申告になることの方が多くあります。「修正申告=誤りの指摘に納得して提出するもの」です。

B更正
更正とは税務調査の結果、誤りが見つかり、「こう直しますよ、追徴税額はこれだけになります」という税務署からの処分です。修正申告と違うのは、会社(経営者)が納得していないということです。

さて、税務調査で更正(処分)となる場合、税務署(調査官)はその処分をする理由や追徴税額の金額を説明しなければならなくなりました。つまり、説明もなく処分はできなくなったのです。これを「理由の附記」と呼んでいます。

実は今でも同じ制度はありました。しかし去年までは、青色申告者に対する更正だけに理由の附記がなされていました。つまり、白色申告であるとか、青色申告制度がない税目、たとえば消費税や相続税には、更正という処分をされても、理由の附記がなかったのです。

法改正により、今後は納税者にとって「不利益な処分にはすべて理由の附記が必要」とされました。これにより、税務署(調査官)も更正する場合には、処分の理由を明確にする必要があるため、処分に対して慎重にならざるをえなくなったのです。これにより、税務署からの安易な処分は、今後急激に減るものと予想できます。