No7 話し過ぎは禁物

 

税務調査は通常、朝10時から始まります。そこでまず調査官は、世間話から切りだしてきます。

「最近めっきり寒くなりましたね」「先日の地震の影響は大丈夫でしたか?」などなど。

社長からすると、「前置きはどうでもいいから、早く税務調査を始めてくれよ!忙しいんだから」と思うでしょうが、調査官からすると、世間話も大事な税務調査のテクニックの1つなのです。
 
税務調査を喜ぶ社長はいません。ですから特に税務調査初日は、社長が調査官を警戒しているのが当然です。調査官も警戒されたままでは、社長が質問に対してまともに答えてくれるわけがありません。

だからこそ、世間話をすることで、社長に心を開いてもらうことから始めるのが調査官のテクニックなのです。

社長も話すことに慣れてくると、調査官はどんどん話し込んできます。

調査官:「社長はゴルフが好きなんですか?」
社長:「そうですね、まあたまに行きますかね。付き合いもありますし。」
調査官:「どれくらいのスコアでまわられるんですか?」
社長:「うーん、最近はダメでやっと100切れるくらいかな〜」
調査官:「月に何回くらいゴルフに行かれますか?」
社長:「月に2、3回かな」
調査官:「プライベートでは誰と行ったりするんですか?」
社長:「プライベートでは、仲の良い社長連中と行ってるよ」
調査官:「プライベートで行っているゴルフも会社の経費になってるんじゃないですか?」
社長:「・・・」

これは非常に簡単な例ですが、社長が話し過ぎたことで、プライベートの経費を否認されてしまう典型例です。
 
では、「調査官の質問に対して無視をすればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、これはダメです。
 税務調査は「受忍義務」があるので、質問には答えなければなりません。しかし、話し過ぎもダメなのです。

税務調査を受けるうえで大事なのは、「嘘は絶対に言うな。しかし、本当のことも言うな」これが鉄則なのです。