No70「不服申立て@」

 

税務調査の結果として、誤りがまったくなければ「申告是認」。

誤りがあれば、2つの終わり方があり、「修正申告」を提出するか、「更正」という税務署からの処分になるのかを選択することができます。

誤りがあった場合、税務調査のほとんどは修正申告になるのですが、これはあくまでも税務署(調査官)からの指摘に納得できる場合です。

否認指摘の内容にどうしても納得できなければ、「更正」を選択せざるを得ません。 なぜなら、修正申告を提出すると、「不服申立て」ができないからです。

つまり、納得できなくても、修正申告を提出してしまうと、その後争うことができません。
逆にいえば、更正なのであれば、納得できないのであれば不服申立てという手続きを行うことで、争うことができるのです。

ここで勘違いしやすいのは、修正申告を提出しても、加算税や延滞税は処分ですから、加算税や延滞税の減額や取消しについては、不服申立てで争うことができるということです。

例えば、否認指摘には納得したのだけど、重加算税には納得できない場合は、重加算税だけの取消しを争うことができます。

さて、税務調査の内容に納得できず、万が一不服申立てをした場合、どのようになるのでしょうか。
手続きの流れなどを解説する前に、不服申立ての特徴を挙げておきましょう。

まず、不服申立てとは、あくまでも納税者の救済制度です。 つまり、税務署から恣意的な課税を受けた場合のように、納税者を救うことが目的となっていますので、不服申立てをしたからといって、税務調査以上の不利益をうけることはありません。

例えば、税務調査で100万円を課税され、不服申立てをしたら違う誤りが発見されて、120万円課税されるなどの追加的リスクはないのです。
また、不服申立てはあくまでも訴訟ではなく、行政手続きです。 訴訟とは違い、手数料などは一切かかりません。

さらに訴訟と違う点は、訴訟は通常、代理人となる弁護士に依頼することになりますが、不服申立ては弁護士に依頼する必要はありません(もちろん依頼しても構いません)。 税務調査の延長で、税理士が代理人になることができるのです(税理士は訴訟において代理人になることはできません)。

このような、不服申立ての制度について、次回はもう少し詳細に解説したいと思います。