さて、前トピックから引続き「重加算税」を取扱いますが、これで最終回になります。ここまで理解していただければ、税務調査において重加算税で困ることはないでしょう。
すでに説明したとおり、重加算税のガイドラインが「事務運営指針」として、国税庁のホームページで開示されているにもかかわらず、実態として調査官が重加算税と言ってくる理由は2つあります。
@言い返されなければOK
調査官は、重加算税を課した割合=不正発見割合で評価されています。調査官が自分の評価を上げたければ、どんな否認指摘にでもとりあえず「重加算税ですね」と言っておいて、反論されなければ重加算税を課してしまうのが効率的なのです。
実際に何か悪いことをしているわけでもないのに、税務調査で「重加算税です!」と強く言われると、「そうなのかな・・・」と思ってしまうものです。
すでに書いているとおり、重加算税には「隠ぺいまたは仮装」という要件があるわけですから、この要件に該当しないと考えられる場合には、きちんと調査官に対して反論すべきです。
A事務運営指針を知らない
調査官の多くは、重加算税について上記の事務運営指針があることを知りません。知らないからこそ、調査官自身の曖昧な基準で「不正=重加算税」と言ってくるわけです。
こういう現実があるからこそ、経営者の皆さんにも重加算税の事務運営指針を知っていただき、税務調査で「これは重加算税ですね」と言われた際には、事務運営指針を提示して、「この取引のどこがこの事務運営指針に該当するのですか?」と反論していただきたいのです。
また重加算税でもっとも気をつけなければならないことは、重加算税を課されると今後税務調査に入られやすくなるということです。税務署からすれば、過去に「隠ぺいまたは仮装をした会社」と判断するわけですから、当然の結果でしょう。
こういった意味でも、追徴税額のリスクだけではなく、本当は重加算税ではないのに、重加算税を課されてしまうということは、会社にとっていいことなど一つもないということを肝に銘じておく必要があるのです。