税務調査は通常、1〜2週間前に税務署から事前連絡があります。
税務調査をいつにするのか、日程調整して決めるわけですが、この事前連絡から税務調査の当日までにすべきことがあります。
まず、税務調査で誤りなどが見つかり、修正申告した場合を説明しておきましょう。
当初の申告で100の税金を申告していた会社が、税務調査において正しい税金の額が150になったとします。
この差額の50を「本税」と呼びます。
しかし、税務調査で50を支払えば済むわけではありません。少ない税額で申告していたわけですから、遅れて納付したことに対する利息がつきます。これを「延滞税」と呼びます。
延滞税は年率14.6%をベースにして計算されます。
さらに、です。
本税50に対して一定率の罰金が課されます。これを「加算税」と呼んでいます。加算税は、通常10%(過少申告加算税)なのですが、会社が不正行為などをして税金をごまかしていた場合には35%(重加算税)の罰金になります。
これら「本税+延滞税+加算税」を合計した金額を追徴税額と呼んでおり、これを修正申告した日に納めなければならないのです。
しかし、これには例外が1つだけあります。それは、「自分で誤りに気付いて、自分で修正申告したら、加算税が課されない」というものです。つまり、税務調査で指摘されたから罰金が課されるのであって、自ら誤りを認めたものには罰金を課す必要がない、という趣旨なのです。
話を戻すと、事前連絡から税務調査の当日までにすべきことは、この例外を利用することです。つまり、税務調査の当日までに、税務申告書を見直して、誤りなどがないかどうかをチェックすることが重要なのです。
この事前チェックで、もし誤りが見つかっても、税務調査の当日までに自ら修正申告をすれば、罰金である加算税がかからないのです。
加算税が10%であれば、それほど痛みは感じないかもしれません。しかし、会社内で誰かが不正などをしていた場合、35%もの重加算税がかかってくるのです。さらにです。実は重加算税になる場合、延滞税も高くなるという規定があります。税務調査の前に税務申告書を見直しておいて、誤りがなければそれでいいわけです。
しかし、誤りがあったとすると、事前チェックをしておくだけで、最低でも本税の10%、高ければ50%程度の余計な追徴税額を減らすことができるのです。
この制度は知らない人が多いので、ぜひ活用していただきたいと思います。