「交際費」といえば、お客様や取引先と飲み会で支出した費用(接待交際費)を指すと考えるのが、常識的な考え方だと思います。
しかし、税金(法人税)の世界でいう「交際費」というのは、かなり違う概念を持っています。
まず交際費の税務処理を簡単に説明しておくと、原則損金にならないと定められています。ただし、資本金1億円以下の場合は、600万円以下の部分は10%、600万円超の部分のみが損金になりません。
また、税制改正によって今後は、800万円以下の部分は全額損金になりますが、800万円超の部分は損金にならないこととなります。
さて、税金上の交際費の概念なのですが、飲み食いだけではありません。
例えば、自社の社名を入れたゴルフボールを作成し、取引先に渡した場合、「広告宣伝費」になりますが、取引先の社名を入れたゴルフボールであれば、「交際費」と言われてしまいます。
この違いは、自社の名前を入れるのは、自社の名前を広めたいという目的なので広告なのですが、相手方の名前を入れるというのは、「相手方の歓心をかうような行為」に該当するため、飲み食いと同じで交際費と判断されるわけです。
これは、飲み食いがゴルフボールに形を変えただけだろうという根拠です。
実は、支出が交際費になるかどうかは非常に微妙な判断をともなう場合が多くあり、税の専門家である我々税理士でも、判断に迷うことが多くあります。ただ、経営者として知っておいていただきたいのは、交際費と指摘される可能性のあるケースです。
注意しておかなければ同じ支出でも、税務調査で交際費と指摘されるだけで、追徴税額が発生してしまうのです。
交際費と混同しやすい支出は下記のようなものがありますが、全般的に知りたい場合は、国税庁のサイトからこちらをご覧ください。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-aishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/08/08_61_4a.htm
「リベート(売上割戻し)」
「情報提供料」
「広告宣伝費」
「福利厚生費」
このような支出がある場合は、交際費になる可能性があると考えてください。