No59 「交際費との区分A」

 

前回から引続き、交際費との区分を書きたいと思います。

税務調査でよくモメる交際費との区分に、「情報提供料」があります。簡単にいえば、顧客や案件を紹介してもらい、ビジネスが成立した場合に謝礼(キックバック・リベート)を支払うような場合です。
このような支出する業種としては、建築業や不動産業・保険代理店業を筆頭に、通常行われている行為といえます。

では、なぜこのような謝礼(情報提供料)が、交際費と指摘される可能性があるのでしょうか?

前回書きましたが、交際費は税制上どのようなものかというと、「相手方の歓心をかうような行為」、つまり相手方に対してお金を使うことで、相手が自分のことを気に入って仕事をまわしてくれるような行為に対する支出を指すわけです。

このように広く定義すると、情報提供料も特定の相手方に支出し、かつ相手の歓心をかうような行為と言えなくもない、というわけです。

そこで税制上は、下記3つの要件をすべて満たしている場合は、情報提供料として全額損金にしていい、裏を返せば、これらの要件を1つでも満たさなければ、交際費と判断するというルールを作っています。(租税特別措置法関係通達61の4(1)−8)

(1) その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること。

(2) 提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること。

(3) その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること。

さて、いかがでしょうか。実務の現場では、支払う相手方と締結した「契約書がない」、何に対する情報提供料なのか説明できる状態にない、などの問題が生じている場合が多いのです。

情報提供料は、ビジネスで必要であることを考えると、経費(損金)になって当然かと考えがちです。
しかし上記の要件を満たさないために、税務調査で交際費と指摘されるケースが多いのです。

契約書を準備するなど、事前に準備をすべきこともあるのです。