No69「印紙税の取扱いA」

 

前回から引続き、印紙税の税務調査についてです。

前回は、事前通知の内容に印紙税を含めないが、必要であれば印紙税の調査はするとお伝えしました。

さらに問題があります。

税理士の業務から、印紙税が除かれているという事実から、税務調査で印紙税の話になると、税理士は口出しできないということです。
これは正確には「税務代理」といって、顧問先である法人・個人事業主の代わりに、税務調査で調査官に発言等をする行為なのですが、印紙税に限っては、これができないというわけです。

実務上のところ、多くの税務調査で印紙税においても同じように、調査官から税理士に意見を求められたり、また誤り等がある場合に税理士事務所が処理をしたりするのですが、これらには、大きく2つの理由があるものと考えられます。

@調査官がこれら税理士法の事実を知らない

A事実は知っているがあえて立会い等を認めている
(法人や個人事業主など納税者と直接やり取りするより楽だから)

実のところ、@がほとんどではないかと思います。

税務署がどれだけのルールを作っても、多くの調査官に周知されていないというのは、印紙税だけの問題ではありません。
ましてや、同じ税務調査で問題になる税金なのですから、これらの事実を調査官が知らなくても仕方のないことかもしれません。

また、Aの場合も多いと考えています。

実際のところ、税金の知識がないからこそ税理士に依頼しているのが事実なのであって、印紙税だけ税理士ではなく、経営者に質問するというのも、調査官からすれば面倒なはずです。

さて、税理士が印紙税の税務代理ができないという事実を知っている調査官の中には、税務調査で税理士が印紙税の口出しをすると、「法律違反ですよ」と言ってくるケースも考えられます。

このような場合は、税理士が代理で意見を述べるではなく、「経営者の意見をそのまま伝える」ということであれば問題ない、というわけです。
つまり、税理士の見解ではなく、経営者の見解をそのまま伝えるのであれば、代理行為にはならないのです。

税務調査において印紙税が問題になり、調査官の方から税理士に対して印紙税の質問等がない場合は、経営者の意見をそのまま述べていただく機会があるかもしれませんが、それはこのような理由からなのです。